お笑い

【キングオブコント2021】ジェラードン、頑張りました!

お笑い界における秋の風物詩、『キングオブコント』が幕を閉じた。

本年度の盛り上がり方は凄かった……というか、ハッキリ言って、過去イチに充実した大会になったと思う。悲願の優勝を果たした空気階段を筆頭に、決勝に進出した10組のネタは何れも素晴らしく、一組目の蛙亭からラストの優勝決定戦まで、熱と笑いが途切れることのない歴代ベストバウト級の”魂斗”(バッファロー吾郎Aさん調)を存分に満喫させてもらった。

そうした大会の中で、個人的にMVP級の印象を残したのが、今年、初のファイナリストとなったジェラードンのお三方だ。

今年のKOC、個人的MVPは、ジェラードン!

いや、ジェラードンの頑張りは、本当に凄かったと思うのだ。

アタック西本さんと、かねちぃさんのダブルボケを軸とした明快かつキャラクター重視なコントを行うトリオで、”シュール”か”ベタ”かで言ったら、圧倒的に後者に主軸を置いた笑いを持ち味としているジェラードン。

レギュラー出演していたTBSの深夜バラエティ『有田ジェネレーション』のファンだったこともあり、このトリオがKOCの準決勝を突破したと知った際には、本当に嬉しかった。ただ、一方で、他の出場者の顔ぶれを見て、同時に、「ジェラードンの優勝は無いな……」とも思った。

決勝でぶつかるのは、空気階段や蛙亭、そいつどいつに男性ブランコ、そして、ニッポンの社長、ザ・マミィ……といったメンバー。いずれも、演技的な表現力や誰も思い付かないような奇抜でシュールなセンスといった、唯一無二のスペシャルウェポンを搭載したコント界の特殊車両たち。まさに、”キレキレ”のメンバーである。

その辺りと競っていくには、余りにもジェラードンのお笑いは力技が過ぎる。”キャラクターコント”に特化したジェラードンの芸風は、このメンバーの中では、審査員からも評価をされづらいのではないか? 結果的として、不利を受けることになるのでは……と感じたのだ。

だからこそ、俄然、ジェラードン(と、同じく、こちらも明るくパワータイプ的なネタを得意とする、うるとらブギーズのお二方)に肩入れをしたくなった。

今年の優勝者は、順当に行けば空気階段かザ・マミィだろう。もしも、その二組が敗れることがあったとしても、このメンバーならば、誰が優勝しても嬉しいし面白い。ただ、出来ることならば、ジェラードンか、うるとらブギーズのどちらかが大波乱を巻き起こして欲しい、ベッタベタな笑いが、他の参加者のセンスを超える瞬間を観てみたい……というのが、自分が戦前に抱いていた願望だった。

大一番にベストなパフォーマンスで魅せたジェラードン

そして、大会本番だ。結果的に、ジェラードンは、大健闘をすることになる。

トップバッターにして、大爆笑を生み出した蛙亭(ホムンクルスのコント、今まで観てきたお二方のコントの中で、一番おもしろかった!)に続いて、舞台に登場したジェラードン。

何をやったかといえば、いつものジェラードンのコント。西本さんとかみちぃさんの個性的なルックスをストレートに盛り込んだ、ナンセンスでバカバカしくて、そして、やっぱりベッタベタで、だからこそ、何も考えずに笑えるネタ。そんな彼らのコントが、大ウケした。ここぞという大舞台で、そのパフォーマンスが、しっかりと”ハマった”。

何が凄いって、”あのネタ”で高得点を叩き出したことだ。傍から見ると”痛い”言動を繰り返す男子生徒と女子生徒のやり取りを描いた学園コントで、シナリオの構成力やドラマとしての美しさといった、”技術点”的なポイントに関しては、他のファイナリストのコントに比べると劣る部分があったと思う。それでも、あの特異な風貌とキャラクターとおバカなノリで、真っ向勝負をしてみせた。アタックしてみせた。結果、その直球勝負が大きな”笑い”になり、採点でも評価された。

最後は、5位という順位に沈んだものの、終盤まで最終決戦進出への切符である上位三組のポジションをキープし続けたジェラードン。大健闘も大健闘。まさか、ここまで頑張りを見せてくれるとは思わなかった。

時代に合わない芸風かもしれないけれど……

あくまで個人的な感想になるけど、ジェラードンの奮戦には、今大会で一番の感動を覚えた。素直に凄いと思った。

ジェラードンの人の容姿や痛々しさを笑いにするコントは、正直、ファンの自分が観てもちょっと古いスタイルの笑いではあると思う。あの作風が現在のお笑い界でベストなコントだとは思わないし、時代に合っているか否かといったら、間違いなく後者だろう。

■空気階段、ザ・マミィ、男性ブランコ「キングオブコント」勝ち残った3組の「意外な共通点」

上記の記事のように、他のファイナリストが生み出したコントに”美しい物語”を見出す方が、今年のKOCを締め括るのには相応しく、また、妥当でもある。

だからこそ、そんな感動的なムードとは一線を画するジェラードンのバカでベタで、悪意もある、そんなコントが異色作として自分の中で、より一層輝いたし、そんなネタを貫いたジェラードンにも、美しさを感じたのだ。

兎に角、今年のKOCは、このトリオが魅せてくれた。ジェラードン、頑張りました! そんな思いを記録として残す為に、今回のエントリは書き記した次第。そして、再度、このお三方がファイナリストになったあかつきには、決勝の舞台で、このコントが見たいです。

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