プロレス史に残る”伝説”の蛮行、凶行の数々!
大流血や失神は当たり前。従来の”デスマッチ”における枠組みを天高く飛び越え、当時の”伝説”となった試合やトピックの数々の箇条書きで挙げてみると、
- 新生W★INGのエースとなった松永光弘さんが、後楽園ホールの2階から対戦相手に向かってダイブを決行(高さは約6メートル)
- 日本初の高所(スキャフル)マッチを開催。アイスマンがミゲル・ペレスJr.を落下させて勝利
- ポーゴさんが松永さんにガソリンを掛けて燃やす
- 板に無数の五寸釘を刺し、巨大な剣山状態にした「スパイクネイルボード」に松永さんが落下。全身に釘が刺さる
- リングの内外にコンロや花火を設置した「人間バーベキュー・ファイヤーデスマッチ」を敢行。ポーゴさんが松永さんの脚をコンロで燃やす
- ファイヤーデスマッチで対戦相手に炎の中にパワーボムで投げ込まれた金村ゆきひろ(キンタロー)さんのコスチュームに火が引火。予算をケチって、会場に消化器を用意していなかった(!)為に、鎮火が遅れ、全身に大火傷を追う。結果、病院直行からの長期入院
- 試合に乱入した松永さんが有刺鉄線を腕に巻き付けてのラリアット(当然、自分も痛い)を開発。対戦相手を次々に薙ぎ倒すも、試合後に、ポーゴさんが「正々堂々と戦え!」と己の数々の悪行を完全に棚上げした凄まじいマイクを放つ。貴方が一番、ムチャクチャやってるのに!
……といった具合に、選手が燃やされるか、高所から落ちるか、或いは、有刺鉄線や釘や刃物が刺さるかという異常事態が日常茶飯事としてリング内で続出し、「これは、プロレスではなくホラー映画かスナッフフィルムの類なのでは……?」と観客が自問自答するエクストリームな事件が続出。
当時の同団体を『週刊プロレス』の増刊ムック『プロレスデスマッチ血闘録』では、こう評しています。
W★INGのデスマッチは、これまでに見られなかった場面を次々に創出していった。松永光弘とレザー・フェイスのスパイクネイル・デスマッチは、形式こそ往年のアントニオ猪木VS上田馬之助の一戦と同じだが、W★INGの場合は、松永が本当に場外に転落してしまう。(中略)かつては「そこまではやらないだろう」と思われていた場面をW★INGのデスマッチはことごとく現実のものにしてしまうのだ。
『プロレスデスマッチ血闘録』(ベースボール・マガジン社刊)
それ以前のプロレスでは観ることが出来なかったハードコアな受け身で、とことん血生臭く、かつ斬新な試合形式を次々に世に提示していったW★ING。
その狂乱っぷりに、熱狂的なファンが付くものの、その過激さ故に、怪我人や離脱者が相次ぎ、更に、放漫経営さも相まって、アッサリと団体は崩壊してしまいます。
W★INGと『シャニマス』を重ね合わせてしまう理由
凄まじいスピードで時代を駆け抜け、そして、その速度故に、崩壊へと一気に転がり落ちていったW★ING。
その”明日なき暴走”っぷりは、未だにプロレスファンの間で語り草となっており、この団体が開発した一線を越えたハードコアファイトの数々は、今も国内外のデスマッチ団体に多くの影響を与えています。
「W.I.N.G.」というキーワードを起点として、『シャニマス』とW★ING(プロモーション)を関連付けて語るのは余りにも無理があるかもしれませんが、それでも、自分はこの2つを重ね合わせ、そこにプロレスファンならではのドラマティックな視点を付加して、『シャニマス』という作品を見つめてしまいます。
本家の『アイドルマスター』シリーズ、そして、そこから生まれた『アイドルマスターミリオンライブ!』、その本流に対するオルタナティブとして誕生した『アイドルマスターシンデレラガールズ』。
先行している2つの『アイマス』シリーズをそれぞれ、90年代の全日本プロレスと新日本プロレスという国内の2大メジャーに見立てると、後発でありながら、その2作品を追い掛ける『シャニマス』は、90年代初頭のインディー団体的であり、そこに「W.I.N.G.(=W★ING)」というキーワードが出てきた事は余りにも意義深く、深読みせざるをえません。
そういえば、W★INGには、ビクター・キニョネス率いる”プエルトリコ軍団”の名物選手として、ヘッドハンターA、Bという双子のプロレスラーによるタッグチーム「ザ・ヘッドハンターズ」が人気を博していました。
『シャニマス』で双子といえば、甘奈、甜花の大崎姉妹。互いに双子の人気キャラを擁しているという点も、本作とW★INGの不思議な共通点といえるのではないでしょうか?
ちなみに、正面から見て前髪が右から左に流れているのが妹の甘奈で、反対に、左から右に前髪が流れているのが姉の甜花……という具合に見分けができますが、ザ・ヘッドハンターズもムーンサルトプレスをやる方が兄のAで、そうじゃない方が弟のBという具合に判別が可能です。
W★ING魂は不滅……WE ARE W★ING!
「WING」というキーワードを軸にして、その関連性について書かせていただいた『シャニマス』とW★INGプロモーション。……まぁ、ここまで、長々とテキストを書き連ねてきましたが、よくよく考えたら、両者は全然、関係がないというか、正直、ここまで読んだ人にとっても時間の無駄だったというか……。
こんなバカな文章を仕事をサボって書いている自分に対して憤りといいますか、許せなさみたいな感情を抱く今日この頃です。
許さん……ゆるさん。「またくるゆるさん」(経営が悪化したW★INGを離脱しようとしていたポーゴさんに対して、松永さんが大激怒。プロレスマスコミを従えて、ポーゴさんの自宅を急襲するも居留守を使われ、怒りのメッセージを激情のままに書き残したインディープロレス史に残る名文中の名文。何故か、オール平仮名!)
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